総会長挨拶

日本臨床免疫学会は、基礎免疫学の成果を人の疾患に応用し、病態の解明や新規治療法の開発に関して情報を共有し、討論する場を提供することをその使命としています。 近年、生物学的製剤に始まる新しい免疫学的な新規治療法が、多分野で飛躍的に開発、臨床応用されてきた背景を考えるだけでも、日本臨床免疫学会の今後担うべき役割は益々大きくなるものと予想されます。 また、日本臨床免疫学会の大きな役割の一つに、分野や診療科を超えて広く臨床免疫学を討論することが挙げられます。つまり、分野横断的な徹底討論こそ、日本臨床免疫学会の基軸とならなければなりません。

このような背景から、第42回日本臨床免疫学会総会のテーマは、「Human Immunology-分野を超えた新たな挑戦-」としました。 これまでの総会では、シンポジウムやワークショップについては、総会長がイニシアティブを取って立案してきましたが、 本総会からは、常設プログラム委員会が設置され、総会長の専門領域とは関係なく、分野横断的かつ疾患の克服に繋がるテーマを、複数回の総会を勘案した長期的な視野から企画立案することになりました。 これによって、分野の偏りのない、より充実したプログラムとなることが期待されます。 このような学会の新たな試みが初めて行われる総会ですので、テーマには「分野を超えた新たな挑戦」という文言を選択しました。 また、先にも述べたように、臨床免疫学の発展には、基礎免疫学の理解が必要不可欠であります。 この観点から、特別講演には、東京大学生産技術研究所 谷口維紹先生にお願いし、自然免疫の最新の話題についてご講演頂くことになっております。

今年の総会は、日本臨床免疫学会のみの単独開催ではありますが、上記のような新しい特徴をもった総会となることが期待されます。 分野横断的な徹底討論によって、疾患の克服に繋がるような機会を、本総会を通じてご提供できるものと確信しております。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

佐藤 伸一
東京大学大学院医学系研究科・医学部 皮膚科学 教授