ご挨拶

第36回日本思春期学会総会・学術集会を2017年8月26日(土)~27日(日)の2日間にわたり、宮崎のシーガイア コンベンションセンターにおいて開催させて頂きます。

日本思春期学会は、思春期に関わる様々な職種の人々が集まり研鑽している学会で、産婦人科、泌尿器科、精神科、小児科などの医師をはじめ、保健師・助産師・看護師などの看護職、学校関係者や福祉関係、心理関係、行政職など多くの職種により学際的に運営されている学会です。今回で第36回を迎えますが、様々な思春期の問題が山積している中で、私たちは、何を目指してどのような活動をすることが求められているのでしょうか。

日本思春期学会は今年から法人化され、社会における役割はますます大きくなっています。新しい事業として性教育認定講師研修が28年度からスタートし、30名の方が認定されました。また29年度からは思春期学研究認定者制度も開始され、思春期を専門とする学際的な研究はますます活発になっていくことが期待されます。

現在の思春期の子どもたちは、様々な問題を抱えて、大変複雑な社会環境のなかで生きています。まず、少子社会の中で、兄弟との切磋琢磨する機会は失われ、加えて近隣の子どもたちとの遊びの場もなくなっています。また、IT化したバーチャルな世界で、不特定多数との「つぶやき」の交換は活発ですが、特定の人と向き合って会話をするのは苦手で、他人との関わりが困難になっております。このことは、今日の性の健康を脅かす現象にも繋がり、人間の最も基本的な欲求の一つである性欲の満たし方をも変えています。特定のパートナーとのデイトよりも、自分の思いのままに反応する架空の恋人をつくり疑似恋愛体験をし、性欲を満たしている現状もみられます。このように人間関係づくりが未熟で、大人になりきれない若者が増えており、わが国の性は極めて不健康になって来ている様に思われます。

この様な社会であっても新しい命は芽生え、生み出されてきます。新しい命の誕生には誰しも深い感動を覚えるものです。このいのちのパワーから新しい何かが生まれ、何かが変わって行く気が致します。そこで学会のメインテーマは「いのちのバトンを繋ぐ~いのちが生みだすもの、変えるもの」と致しました。特別講演Ⅰは、宮崎出身の歌人である伊藤 一彦先生に「いのちをみつめる~人のいのちのはじまり~」をお願いしています。また、特別講演Ⅱでは日本で初めて思春期クリニックを開設した家族計画協会の北村邦夫理事長に今日の思春期の問題提起と展望をご講演して頂きます。

招聘講演は中国の劉麗青先生をお迎えして、大きく発展している中国のリプロヘルスの現状を紹介して頂く予定です。教育講演は、思春期のひきこもりやレジリエンス、不妊予防、生活習慣病の予防などのテーマでその道の第一人者である先生方から解説して頂く予定です。

シンポジウムは、「性の健康と生命への支援」のテーマで、人工妊娠中絶、自殺、性感染症の3側面から思春期の現状と支援のあり方について討論して頂きます。また、「性暴力の問題」、「地域・学校・家庭の連携のあり方」、「若年妊娠への支援」を予定しております。

今回、新しく参加型のプログラムとしてラウンドテーブルを企画しています。身近なテーマを基にディスカッションできるので、会員の皆様が主体的に参加して頂くことを期待しています。多くの会員の方との意見交換ができ、自分の研究を更に発展させていけるように情報交換ができる時間も多く取り入れ、実りの多い学術集会になるように努力していきたいと思っています。

学術集会の開催に際しましては、プログラム委員をはじめ地元宮崎の関係者の皆様には多大なご支援を頂いております。この機会に九州各県からのご参加、並びに遠方の皆様も日本の日向である宮崎に是非足を運んで頂ければと思います。あなたの中で「何かが生まれ、何かが変わる」そんな出会いがあることを祈念しています。

学会の準備はこれからが本番です。プログラム委員の先生方はじめ運営委員の皆様のご尽力に感謝するとともに、これからのなお一層のご支援をお願い致します。

第36回日本思春期学会総会・学術集会
会長  齋藤 益子
帝京科学大学看護学科教授、東邦大学名誉教授