ニキビ Q & A

Q1.にきびを早めに治療する理由はなに?
Q2.にきびはどうしてできるの?
Q2-1.にきびは何歳くらいからできるの?
Q2-2.みんなはどうやってにきびに対処しているの?
Q3-1.にきびの治療はどうするの? Part.1 アダパレン
Q3-2.アダパレンゲルに副作用はないのですか?
Q4.にきびの治療はどうするの? Part.2 抗菌薬
Q5.にきびができたらどうして自分で潰してはいけないの?
Q6.にきび治療のゴールは何処に設定するの?
Q7.にきびの治療に健康保険は使えますか?
Q8.にきびにチョコレートは厳禁なの?
Q9.にきびなのにお化粧していいの?
Q10.にきびに適した化粧品は? ノンコメドジェニック化粧品とは?
Q11.にきび痕ってなに?
Q12.にきびが顔にできるのはなぜ?
Q13.にきび菌ってどんな菌?
Q14.コメドってなに?
Q15.生理周期とにきびは関係があるの?
Q16.保険の使えない治療は効果があるの?
Q17.にきびの洗顔はどうしたらいいの?
Q18.にきびは不潔だからできる?
Q19.にきびの保湿はどうしたらいいの?

Q1.にきびを早めに治療する理由はなに?

にきびは、多くの人が思春期に経験するありふれた皮膚疾患です。思春期を過ぎると症状は改善していきますので、「青春のシンボル」と考える人もいます。それでは、なぜ、にきびを治療する必要があるのでしょうか?
それは、にきび痕が残るからです。にきび痕は傷痕と同じですので生涯残ります。それでは、どのくらいにきびを放置するとにきび痕ができるのでしょうか?
アメリカ合衆国で行われた27人の痤瘡患者の顔面を写真で3ヶ月間、連続で経過観察した調査によると、炎症をおこした赤いにきびや膿(うみ)をもったにきびの8.2%が3ヶ月以内に瘢痕になるとされています。
実際の患者さんの動向について、林らが行った日本の調査では、男女とも平均では13.3歳 ごろからにきびができ、川島らの調査ではにきびが気になり始めてから医療機関を受診するまで2、3年を要しています。これでは、にきび痕ができてしまいます。
にきび痕を残さないためには、早めに医療機関を受診して、軽症のうちに治療しましょう。

Q2.にきびはどうしてできるの?

にきびは、毛穴の病気です。皮膚の脂を分泌する皮脂腺は毛穴にあり、皮脂は毛穴を伝って皮膚の表面に分泌されます。にきびは、毛穴のうちでも脂腺性毛包(しせんせいもうほう)という皮脂腺が発達した毛穴に生じます。脂腺性毛包は顔面や胸背部の中央部に分布しているので、にきびは顔にできやすいのです。
にきびは、皮脂の分泌が盛んな状態で毛穴の出口が詰まることから始まります。毛穴が詰まると、脂は出て行けなくなるので、毛穴に皮脂がたまります。これは、医学用語で面皰(めんぽう)と呼ばれています。一般には白にきびや黒にきびと呼ばれています。手で触るとぶつぶつした感じがします。皮脂の分泌は男性ホルモンの影響で増加することが知られています。
この皮脂のたまった部分ににきび菌(Propionibacterium acnes)が増殖して炎症をおこすと赤いにきびや膿を持ったにきび、医学用語で炎症性痤瘡(えんしょうせいざそう)になります。

まとめると
1st ステップ 毛穴が詰まる
2nd ステップ 毛穴に皮脂がたまる
3rd ステップ 毛穴に炎症がおこる
の3ステップです。

Q2-1.にきびは何歳くらいからできるの?

川島らが行った皮膚科専門医医療機関における日本の調査では、平均では15.2歳頃からにきびができ始めます。早い人では10歳頃、女児では初潮よりもにきびが先行することでも知られています。高校生くらいで症状のピークを迎えますが、20代になってはじめてにきびができる方もいます。

Q2-2.みんなはどうやってにきびに対処しているの?

にきびの対処法は巷にあふれています。にきびに対する薬剤や化粧品は、薬局でも通信販売でも化粧品売り場でも購入することができます。にきびの方の多くは、まずは自分で身近な薬剤や化粧品を購入して対処し、数年しても、治らないときに医療機関への受診を決意します。
しかし、日本の医療機関の敷居は決して高くありません。われわれ皮膚科専門医は、にきびに対して親身に対応しています。医療機関で処方される薬剤は世界中で厳しい臨床試験をくぐり抜けてきた効果の高い薬ばかりです。先程も述べましたが、にきび痕はにきびができ始めてから数ヶ月で形成される可能性があります。軽症のうちに早めに皮膚科を受診されることをお勧めします。そうすることで、にきびの重症化を予防し、瘢痕を残さないことに繋がります。

Q3-1.にきびの治療はどうするの? Part.1 アダパレン

「Q2.にきびがどうしてできるの?」でも書きましたが、まずは、毛穴のつまりを取り除くことができれば、にきびの根本から治療することが可能になります。毛穴のつまりは、ごしごし洗ってもとれません。タオルの届く部位よりも深いところが詰まっているからです。
毛穴に有効な健康保険の適用される認可をうけた治療としてアダパレンゲルがあります。アダパレンゲルの有効成分であるアダパレンは、その薬理作用で毛穴のつまりを改善し、脂の通りを良くすることでにきびをできにくくします。つまり、新しいにきびができないようにすることができるのです。ある調査によると患者さんは、皮膚科での治療に「にきびが繰り返さないこと」を希望されています。アダパレンゲルはまさにそういった患者さんに適応します。さらに、にきびは肉眼的に見えない微小面皰とよばれる毛孔のつまりのでき初めの段階からすでに始まっています。アダパレンはその初期段階からニキビの形成を阻害する治療です

Q3-2.アダパレンゲルに副作用はないのですか?

アダパレンゲルを使っていると、皮膚がぽろぽろと剥けてくることがあります。また、ひりひり感やかゆみ、乾燥症状を感じることもあります。使い始めて2週間以内に患者さんの8割程度の方におこる症状です。この副作用は一過性で、使い続けているとなくなることが知られています。
アダパレンの効果はゆっくりと現れてきますので、3ヶ月を目標に使用を継続しましょう。副作用は効果の裏返しですので、皮膚科医と相談しながら根気よく使用を続けることがにきび治療の王道です。

Q4.にきびの治療はどうするの? Part.2 抗菌薬

「Q2.にきびがどうしてできるの?」にも書きましたが、赤いにきびや膿(うみ)を持ったにきびで起こっていることは、にきび菌の増殖と、それによる炎症です。抗菌薬は塗り薬と飲み薬がありますが、どちらもにきび菌の増殖を抑えることで効果を発揮します。また、にきびに使用される抗菌薬の一部は炎症を抑える作用があることも知られています。嬉しいことに、いくつかの臨床試験によると、抗菌薬を使用すると赤いにきびが1ヶ月で半分の数になります。抗菌薬も3ヶ月をめどに使用を継続しましょう。アダパレンゲルと抗菌薬は作用機序が異なります。2つを併用することで症状はさらに良くなります。

Q5.にきびができたらどうして自分で潰してはいけないの?

にきびができたら自分で潰したくなるのは人の心情です。よく理解できます。潰せば早く治る気もします。ではどうして、自分で潰してはいけないのでしょうか。
自分で潰した場合、膿(うみ)がきれいに毛穴から排出されれば問題ありませんが、どうしても周囲の皮膚が傷つきます。そして、さらに周囲の毛穴が詰まりやすくなります。また、うまく膿が排出されずに皮膚の下で破裂してしまうと、にきび痕が残りやすくなります。手は不潔であり、指でつぶすことは不潔であることにも配慮が必要です。そのため、自分で潰すことは厳禁です。皮膚科では、医師が特殊な器具を用いてにきびの中身を押し出しますので、どうしても潰したいときは皮膚科医に任せてください(下図参照)。

Q6.にきび治療のゴールは何処に設定するの?

にきび治療のゴールは、にきび痕を残さないことです。そのためには、早期に医療機関を受診し、適切な薬剤を用いてにきびをコントロールすることが必要です。できてしまったにきび痕を改善することは非常に難しいのです。

Q7.にきびの治療に健康保険は使えますか?

にきびの治療には保険が使えるものと使えないものがあります。日本の標準的にきび治療を示した、にきび治療ガイドラインで強く推奨している治療は、全て保険適応です。是非、皮膚科専門医を受診し、健康保険の使える有効で標準的な治療を受けることをお勧めします。

Q8.にきびにチョコレートは厳禁なの?

にきびには、いろいろな都市伝説があります。チョコレートもその一つです。1969年に報告されたアメリカでの研究では、チョコレートの主成分であるカカオの入ったチョコバーと、カカオの入っていないチョコバーそっくりの食べ物を、わからないようにして1か月間食べ続けて、にきびがどうなるかを観察しています。その結果、カカオが入っていてもいなくても違いはありませんでした。ですから、チョコレートのカカオはにきびに影響しません。にきびの原因として、ミルクや甘いものなどの食事が話題に上がりますが、現在のところ科学的な根拠をもって禁止すべきという食べ物はありません。また、にきびがよくなるという特定の食品もありません。たとえば、ピーナッツやチョコレートを食べるとにきびが悪くなるという人は、これらを避けるのはいいでしょう。しかし、自分がそのような経験があるから、他人にも強制するのはよくありません。
にきびの患者には育ちざかりの中高生もいます。嗜好品であれば制限しても大きな障害はありませんが、ミルクや炭水化物全般を制限する極端なダイエットは成長の妨げになります。バランスの良い食事を心がけることが大切です。

Q9.にきびなのにお化粧していいの?

にきび肌にやさしい化粧品を使えばメークをしても大丈夫です。
にきびは毛穴の詰まりが原因なので、肌の表面に何かを塗って毛穴を塞ぐのはダメ、と思われがちですよね。昔のメークアップ化粧品は、肌に負担がかかりやすく、毛穴を塞いでにきびがひどくなったり、にきびの原因になったりすることもあったそうです。現在のメークアップ化粧品は、安全性、機能性が高くなってきています。その中でも、ノンコメドジェニックテスト済み、ハイポジェニックテスト済みと表示されている化粧品は、にきびになりにくいことがテストされた製品です。にきびができにくい化粧品をつかって、メークをしても治療の妨げにならないことが報告されており、すべての人にお化粧禁止、ということはありません。

にきびができたときのメークの工夫
・ノンコメドジェニック、ハイポコメドジェニックテスト済みの化粧品を使う
・にきびを隠すことより、眉や目元、口元にポイントをおいたメークをする
・メーク、メーク落としは優しく行い、にきびを刺激しないこと

お仕事やイベントでメークをしなければならない時には、どうぞメークをしてください。化粧をするとやっぱりにきびがひどくなる、という方は、ポイントメークに挑戦してみてはいかがでしょうか。にきびに負担にならないメークであれば、気持ちも楽になりますね。
かゆくなったり、肌が赤くなったりする化粧品はにきびの有無にかかわらず、使用しないでください。

Q10.にきびに適した化粧品は?ノンコメドジェニック化粧品とは?

今から20年以上前の教科書には、化粧は毛穴をふさいでにきびを悪化させるため、にきびの人は化粧をしてはいけないと書かれていました。しかし、最近では適切な化粧品をうまく使って、にきびを治療しながら化粧も楽しむことで、にきびを悪くしないで生活の質を改善できることがわかってきました。
では、どのような化粧品を使えばよいのでしょうか。適切な化粧品をえらぶ一つの目安が「ノンコメドジェニック」あるいは「コメドジェニック試験済」という記載です。この記載のあるものは、毛穴が詰まりにくいことを実験的に調べてあるので安心です。
にきびは保湿をすればよくなるわけではありません。乾燥肌の人は、美容液や保湿用化粧品は必要に応じて使用してもよいのですが、色々な種類を重ね塗るのは避けましょう。メイクアップの際には、リップメイクやアイメイクを強調して、相対的ににきびを目立たなくすることがコツです。カチューシャやメガネなど装飾品を上手に利用するのもよいでしょう。

Q11.にきび痕ってなに?

にきびが治った後にのこる傷痕のことです。
にきびは治っても、消えない痕が残ってしまうことがあります。にきびができたために肌が傷つき、残った傷痕が「痤瘡瘢痕(ざそうはんこん)」とよばれるにきび痕です。一旦にきびができてしまうと、程度に差はありますが、肌には傷痕が残っています。特に赤く腫れて膿んだにきびでは、膿が出た後の陥没や、にきびが腫れた後のしこりなど、目立つにきび痕ができてしまうこともあります。小さなにきびでも、毛穴が開いたような痕ができてしまうことがあります。にきび痕も時間が経てば、徐々に目立ちにくくなっていきますが、できてしまった瘢痕を完全に元の肌に戻すことは難しいのが現状です。
もちろん、にきび痕を目立たなくするための治療の開発は進められていますが、まだ一般的に受けられる治療にはなっていません。
目立つにきび痕を残さないためには、できるだけ早くにきびを治療して、にきびをひどくしないことが一番大切です。まずはにきびが少ないうち、軽いうちから治療を始めて、にきび痕を作らないように取り組みましょう。

【痤瘡瘢痕(ざそうはんこん)の種類】

Q12.にきびが顔にできるのはなぜ?

にきびは脂腺性毛包(しせんせいもうほう)という毛穴にできます。脂腺性毛包は、皮脂腺が非常に大きいので、皮脂が多く排出されます。さらに、毛が非常に細くて短く、毛穴が深くて大きいため、毛穴がつまりやすい性質があります。顔面にはこの脂腺性毛包が多いため、にきびがよくできるのです。また、脂腺性毛包は顔面以外ににきびの好発部位である胸、背中にもあります。

Q13.にきび菌ってどんな菌?

にきび菌は正式にはプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes:P.acnes)と呼ばれている菌です。にきび菌は正常の皮膚表面にも存在する常在菌ですが、脂質を好みます。この菌は嫌気性菌という酸素の少ない状況でよく発育する菌で、酸素の少ない毛穴の奥で増殖します。グラム染色で陽性に染色され、形態は細長い形をした菌でカモメ様の配列形態やV字型やY字型にみられることもあります(図)。にきび菌が、いろいろな炎症を起こす物質を産生し、にきびの炎症に関与していると考えられています。

Q14.コメドってなに?

にきびの初期段階の状態で、毛穴が皮脂や古い角質などでつまってしまった状態です。
手で触れるとざらざらしていて(白にきび)、よく見ると黒い点が毛穴の真ん中に見られることもあります(黒にきび)。この状態が、にきびの最も早期段階であることに注目され、皮膚科専門医により早期からのにきび治療が行われるようになりました。実際に出来たにきびに対する治療は進歩していますが、にきび痕に対しては良い治療方法がありません。なによりも痕を残さないことがとても重要です。にきびができたらなるべく早めに医療機関を受診しましょう。

Q15.生理周期とにきびは関係があるの?

成人女性では生理前ににきびが悪化することが多いといわれています。これは、皮脂の分泌がホルモンバランスに影響されるからです。生理不順がなければ通常の治療で大丈夫です。生理が2,3ヶ月ない場合には、産婦人科疾患が隠れていて、にきびの原因になっていることがあります。担当医にご相談ください。

Q16.保険の使えない治療は効果があるの?

保険の使えない治療には、美容皮膚科で行われるケミカルピーリング、光治療、レーザー治療などがあります。
ケミカルピーリングは、酸を塗って皮膚の表面をわずかに剥がすことによる治療効果を利用した方法で、レーザー治療と並んで美容皮膚科でよく行われます。にきび治療にも、選択肢の一つとして日本皮膚科学会のケミカルピーリングガイドラインで推奨されています。
光治療として、LEDで青色光(ブルーライト)を照射する方法は、にきび菌の殺菌や炎症をある程度抑える効果があります。穏やかな真空吸引を併用して毛穴を開きながら、青色光と近赤外線をフラッシュランプで照射する方法もあります。その他、光線力学療法(PDT)という、光増感剤を外用後に赤色光をあてて活性酸素を発生させる治療もあります。
日本皮膚科学会のにきび治療ガイドラインでは、光治療は「行ってもよいが、医学的根拠に乏しいため推奨されない治療」とされていることから、費用対効果やリスクの説明を受け、患者さんが納得した上で受ける補助的な治療といえます。しかし、保険適応の治療の組み合わせだけでは効果がなかなか得られない場合などに、痛みや副作用が少ない光治療を、保険外診療として患者さんの希望に応じて行う場合があります。
にきび痕に対するレーザー治療も保険外診療で行われます。皮膚を微細な点状に加熱し、瘢痕化した皮膚の再生を促すフラクショナルレーザーやフラクショナルRFは、ある程度の効果が得られるため、最近よく用いられます。
いずれの治療も治療効果は個人差が大きく、かなりの費用や治療回数を要する場合もあります。信頼できる医療機関で、担当医とよく話し合ってからはじめて下さい。

Q17.にきびの洗顔はどうしたらいいの?

にきびのスキンケアとして最初に思いつくのは洗顔です。洗顔は皮膚の余分な皮膚の油分(皮脂)を取り除き、よごれや雑菌を除去するために大切なスキンケアです。
にきび菌が増えて、にきびが悪化することは皆さんご存知のとおりです。しかし、にきび菌は誰の皮膚にもいる常在菌です。にきび菌を完全になくすために1日5,6回以上も洗顔していたり、毛穴の詰まりをなくすためにブラシなどで強くこすって洗顔している人がいますが、かえって皮膚を傷つけ、肌が乾燥してトラブルが大きくなります。にきびの人が不潔だから、にきび菌が増えてにきびになるわけではありませんので、顔をごしごしと強くこすって洗うのはやめましょう。
一方で、乾燥肌のためににきびができると信じて、保湿のために顔を石鹸で洗わないようにしている方もいますが、水やお湯では皮脂や汚れは十分に取れないため、かえってこすり洗いをする原因になったりします。
日本皮膚科学会という皮膚科の専門家の団体が出しているにきびの治療ガイドラインでは、洗顔は1日2回洗顔料を使って洗うことを推奨しています。朝晩の洗顔料をつかった優しい洗顔を心がけましょう。

Q18.にきびは不潔だからできる?

にきびは不潔だからできるわけではありません。にきびは、皮膚の油分(皮脂)が毛穴にたまることから始まります。この状態を白にきびや黒にきびと呼びます。さらに、毛穴にたまった皮脂のなかで、にきび菌が増殖して炎症を起こすと赤いにきびや膿(うみ)を持ったにきびになります。思春期になると、性ホルモンの分泌が盛んになり、その影響で皮脂の分泌が増えます。皮脂盛んになることに加え、毛穴の先が詰まるために、毛穴に皮脂が溜まるのです。にきび菌が関与しているのは、赤く炎症を起こすところだけで、にきび菌はにきびの原因の一部に過ぎません。したがって、不潔だからにきびができるというのは間違いです。
にきびは不潔という考えから、中高生の間ではいじめの原因になっていることがあります。時には、にきびが気になって学校にいけない中高生もいます。にきびは不潔だからできるのではなく、病気の一つであり、医療機関での治療が大切であることを、にきびの患者さんだけでなく、ご両親や学校の先生方にもよく理解していただきたいと思います。

Q19.にきびの保湿はどうしたらいいの?

思春期のにきびの方の多くは脂性肌ですが、成人女性では乾燥肌や混合肌のかたにも、にきびができることがあります。そのような場合には、にきびの治療の他に保湿ケアが必要になります。その際に、保湿剤の選び方が大切です。オイルや油分の多い化粧品を重ね塗るとにきびが悪化します。にきびができにくいかどうかを調べるコメドジェニック試験をしている製品が安心です。「ノンコメドジェニック」あるいは「コメドジェニック試験済」などと記載されているものを選びましょう。
患者さんの中には、にきびは乾燥でできると思い込んでいる方がいますが、保湿剤にはにきびを治す働きはありません。必要以上に保湿剤を重ね塗ったり、油分の多い化粧品を使うのは避けましょう。天然由来のオイルなら大丈夫と思い込んでいる方もいますが、根拠はありません。保湿は必要に応じて使ってください。
なお、にきびの治療薬の中には皮膚の乾燥を起こしやすいものもあります。そのような治療薬を使用する場合には、乾燥を予防するために保湿剤を使用することがあります。治療によって皮膚が乾燥する場合には、治療薬の使用量を減らしたり、保湿の方法を工夫したりすることもできますので、担当の医師と相談してください。

このページの上へ